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アカウント連携。ソーシャルログインのメリットとデメリット

会員サイトなどで新規会員登録をする際、FacebookやTwitterでログインできるボタンをよく見かけます。
これを、ソーシャルログインボタンといいます。
ソーシャルログインとは、ソーシャルアカウントを共有し、異なる複数のサイトでも同じIDとパスワードでログインできることを言います。つまり、わざわざユーザー情報を登録しなくとも、共通のIDとパスワードでログインができる便利なサービスなのです。
また、便利なサービスである一方、思わぬトラブルにつながる危険も兼ね合わせています。
今回は、アカウント連携を起用したソーシャルログインのメリットとデメリットについてご紹介いたします。

Facebookとの連携がトップ。ソーシャルログインの現状

2014年第2四半期(4月~6月)におけるソーシャルログインの利用状況は、全世界において、Facebookがトップで55%、続いて、Google+:27%、Yahoo!:11%、Twitter:5%という調査結果がでています。

さらに、サービスサイト別に見てみると、Facebookのアカウントからログインされた割合は、コマース系サービス:75%、メディア系サービス:49%、コンシューマー向けブランド・旅行サービス:70%前後と、あらゆる分野でFacebookが圧倒的に利用されていることがわかります。

また、アジア圏においても同様にFacebookの利用が全体の78%を占め、これはまさにFacebookの圧勝と言えるでしょう

[出典データ]:Gigya Customer Implementations Q2-2014

ソーシャルログインのメリット

次に、会員サイトを運営している企業の立場から見たソーシャルログインのメリットをいくつか取り上げてみます。

(1)ソーシャルログインにより、会員情報の登録の手間を省略することによって、新規会員登録の件数がアップ

(2)ソーシャルログインにより、連携するソーシャルサービスから、様々なユーザー情報の入手

例えば、Facebookから提供されるユーザー情報は、氏名、性別、血液型、誕生日、メールアドレス、住所、写真、興味・関心、趣味・嗜好、職歴、学歴、地域、友達リストといった、ユーザーの人物像が具体的にイメージできる情報が入手できます。

(3)獲得したユーザー情報により、ユーザーにマッチした広告表示

広告に興味を引きそうなユーザーを属性で絞り込み、趣味嗜好にマッチした広告を表示することで、効率的に新規顧客を獲得することができます。また企業側が保有しているユーザー情報と照らし合わせて、新しい営業施策をといった可能性も秘めています。

ソーシャルログインのデメリットと対策

前述と同じく、会員サイトを運営している企業の立場におけるソーシャルログインのデメリットを取り上げていきます。

まず第一にあげられるデメリットは、会員サイトに登録されている個人情報の取り扱いに対して、ユーザーの不信感です。

ソーシャルアカウントの連携で共有されるユーザー情報は、個人情報になるものが多く、特に、メールアドレス、名前、住所、会社名、電話番号などは、一つでも知れると、ユーザー本人と実際に連絡が取れる情報です。

このように、第三者となる会員サイトに重要な個人情報が提供されると、その後どのように扱われるのか、もしかして悪用されないかなど、ユーザーにとっては最悪な状況も考えられるのです。

そしてさらに、ソーシャルログインにおいて、現在社会的な問題となっているのが、ソーシャルサービスの肝である「拡散機能」です。

「拡散機能」とは、ソーシャルアカウントの連携により、一つのソーシャルサービスへの投稿を、別のソーシャルサービスにも同時に投稿することができる機能のことです。

例えば、Twitterではニックネームで投稿したはずの私的なコメントが、Facebookでは実名で、しかも社名まで表示されたまま投稿されてしまうというケースです。

こういったケースは、ここ最近、ニュースでも頻繁に取り上げられおり、今や企業のコンプライアンスやモラルという点で、大きな社会問題にもなっています。

一度ニュースで報道されてしまうと、個人情報が出回るばかりか、会社名の公然によってその企業までもが社会的信用を失う恐れもあります。

以上のことから、情シス担当者としては、企業としてのソーシャルログインの利用のメリットデメリットを十分に把握し、会社にとってどのように取り扱うべきなのか、そして、社員が利用する際には、どのような注意事項を徹底すればよいのかを正しく認識し、それらのルール化と実施することが重要なのです。

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