「テレワーク」とは、「場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のこと。 ICT(情報通信技術)が発展した現在、このことが実現可能になりました。テレワークが普及することで、「ワーク・ライフ・バランス」を実現し、自分らしい仕事のしかた、そして生き方ができるようになるかもしれません。
社会人になったら、毎朝決まった時間にオフィスに出社して、決まった時間まで働き、時には残業することが当たり前だと、これまで考えられていました。けれども、趣味や自己実現のための時間を確保したい、子育てや介護のため、家族と過ごす時間を作りたいという人も現在では多くいます。
これまでは、オフィスにいなければほとんどの仕事ができませんでしたし、連絡も滞ってしまいがちでした。しかし、ICT(情報通信技術)の発展により、オンラインでつながっていれば、どこにいてもメールやSkypeで連絡を取ることができます。そして、クラウドに書類を保存すればどこからでも共同作業ができるようになりました。つまり、どんな会社でも、今すぐテレワークを実現できる環境が整ってきたのです。
テレワークには、これまで在宅勤務と言われていた「自宅利用型テレワーク」、ノマド型とも言われる「モバイルワーク」、 サテライトオフィスなどを利用する「施設利用型テレワーク」の3つがあります。総務省の発表によると、テレワーカー人口比率(就業者人口に占めるテレワーカーの割合)は、平成24年時点で21.3%(約1,400万人)ということで、既に意外に多くの人がテレワークを実現していることがわかります。
テレワークを上手に活用することで、自ら仕事や生活をデザインすることができるようになります。集中して仕事する時間、趣味の時間、家族と過ごす時間、あるいは副業の時間までも確保できるようになるかもしれません。
テレワークには、そのほかにもメリットがあります。総務省はICT利活用の促進の一環として、テレワークを積極的に推進しています。
まず、オフィスに集まる必要がなければ、空調設備や照明などの使用量を抑えることができ、社会全体で省電力を実現できます。総務省の資料によると、オフィススペースの消費量が40%以上削減可能で、家庭の消費量増加を考慮しても、社会全体では削減可能としています。
・テレワークの推進(総務省)
・PDF:テレワーク(在宅勤務)による電力消費量・コスト削減効果の試算について
また、メールやクラウドを介して書類をやりとりすれば、ペーパーレスを実現でき資源の消費を削減できます。会社としては、交通費を削減できるメリットもあります。さらに、これまで通勤圏外だった地方の人を社員として迎え、地域の活性化につなげることも可能になります。
・地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fi等の活用に関する研究会 テレワーク等推進ワーキンググループ(第5回)
テレワークの実現には、ICTの利活用が必須となります。メールの送受信やクラウドサーバへの接続にはパソコンが必要です。書類やマニュアルを共有する際にはタブレットが便利な場合もあるでしょう。Webカメラなどを介してオンラインで会議すれば、全員が一カ所に集合する必要もなくなります。
一方で問題となるのが、セキュリティの確保です。全員が1つのオフィスにいれば、社員の出入りやオフィス内の端末だけ管理すればすみますが、個人宅に置かれた端末まで管理するのは難しいでしょう。そこで、以下のようなことに留意する必要があります。
・パソコン内のハードディスクは暗号化する
・あるいはハードディスクを持たないシンクライアントPCを使用する
・印刷を認めないあるいはファイルを印刷禁止の設定にする
・クラウド上のファイルに、権限に応じたアクセス制限をかける
また、会社側でソリューションを導入することで、セキュリティと利便性を両立する仕組みを作ることもできます。
・WebDAV対応:誰でも簡単操作「FUJITSU Cloud Service AZCLOUD IaaS ファイルサーバ」
一方で、在宅の作業では進捗の管理がおろそかになるのではないかと心配になるかもしれません。こうしたこともWebサービスの導入により解決でき、段階的に進捗管理することも可能になります。
パソコンやタブレットなどの端末、インターネットへの接続回線などのインフラは、既に多くの企業や個人宅にも導入済みです。実は、テレワーク実現のためのハードルはもうかなり低くなっています。いきなり完全な在宅勤務を実施するわけではなく、週に1~2回からはじめている企業もあります。企業としては諸経費の節減、社員にとっては自分らしい働き方をできるテレワーク、今すぐ導入の検討や提案をしてみてはいかがでしょう。
1970年山口県生まれ。1997年に株式会社ジャムハウスを設立。同社の代表取締役として、IT系、教育系書籍の制作、出版を行う。